その瞬間また強く風が吹いて、さっきぐるぐる巻きにしたマフラーがほどける。
私が手で追いかける前に、迅和くんが先にマフラーの先をキャッチしていた。
手が一瞬触れた。そのままきゅっと巻き直される。
「暖かくして来てください」
素っ気ない手つきとは裏腹なやさしい言葉に、またうなずく。
そして口をついて出る、可愛さのないセリフ。
「ミシュランみたいな格好で行ってもいいの?」
「────まあ、いいですよ」
「ウソだ。そんな格好で行ったら、隣歩いてくれないくせに」
信号が変わり、人の流れが一気に動く。
やっと私たちも歩き出した。
横断歩道を渡りながら、肩が少しだけ触れそうで触れない距離。
駅の光が近づくにつれて、胸の奥の灯りも少しずつ明るくなる。
白い息とともに、迅和くんがつぶやいた。
「ちゃんと歩きますよ、隣」
デートなんて言葉は、まだどこにもない。
でも、次が生まれた。
信号が変わるたびに、心も少しずつ進み始めていた。
私が手で追いかける前に、迅和くんが先にマフラーの先をキャッチしていた。
手が一瞬触れた。そのままきゅっと巻き直される。
「暖かくして来てください」
素っ気ない手つきとは裏腹なやさしい言葉に、またうなずく。
そして口をついて出る、可愛さのないセリフ。
「ミシュランみたいな格好で行ってもいいの?」
「────まあ、いいですよ」
「ウソだ。そんな格好で行ったら、隣歩いてくれないくせに」
信号が変わり、人の流れが一気に動く。
やっと私たちも歩き出した。
横断歩道を渡りながら、肩が少しだけ触れそうで触れない距離。
駅の光が近づくにつれて、胸の奥の灯りも少しずつ明るくなる。
白い息とともに、迅和くんがつぶやいた。
「ちゃんと歩きますよ、隣」
デートなんて言葉は、まだどこにもない。
でも、次が生まれた。
信号が変わるたびに、心も少しずつ進み始めていた。



