チョコレートに想いを込めた日、親友は消えた

 保健の先生と話をしてからベッドに横になって、頭から布団をかぶる。

 涙が止まらない。なんでこんなことになった。誰が校庭に呼んで殺した。

「クソ野郎……っ」

 枕を何度も叩く。

「日高くん、叩くのはいいけど枕壊さないでね」

「はい」

 ぎゅうっと枕カバーを握りしめる。

 寝よう。でないときっと、ずっと泣いてしまう。服の袖で両目を覆い、目を閉じる。

『ルルー? 早く元気になれよ』

 聞こえるはずのない声がした。

 慌てて目を開ける。

「留喜? よかった、起きた」

 兄さんが泣きながら抱きついてくる。

 和哉じゃない。瞳からじわじわと涙が溢れる。いつまで現実を受け入れないんだよ。

「心配かけてごめん、兄さん。帰ろ」

 首を振って涙を拭う。

「歩けるか?」

「ん、もう平気だ」

 頷いて、保健の先生に頭を下げて廊下に出る。

「あ。小倉くん? 来てたぞ。始業式終わっても、留喜のこと見ててくれた」

 俺は瞬きする。

「え、親しくないのに」

「和哉と仲良かったんだろ、たぶん」

「そうだったかも」

 和哉、小倉を見かける度に手を振っていたかも。小倉は俺の気持ちがわかったのか。

「明日も休んでいい、無理しないで」 

「いや、行く。ありがとう」

 歩きながら、兄さんを見て作り笑いをする。兄さんが立ち止まってしまう。

「留喜、顔変」

 慌てて口を手で覆う。

「え、本当に?」

「楽しくないのバレバレ。俺の前では無表情でもいいから」

 頷いて、手を降ろす。

「兄さん、俺今日も料理しなくていいかな」

「いいよ。飯は俺と母さんで作る」

 俺の背中を叩いて、兄さんは笑う。

「ありがとう。家庭科の授業はさぼろうかな」

「そうしろ。無理して体調崩すよりマシ」

 サボりを進められることってあるんだ。まぁ、いつも料理しようとするたびに泣いてるもんな。和哉のことを思い出して。

「うん、いつか、またできるようになるよね」

「あぁ。焦ることない、ゆっくりな」

 にかっと八重歯を出して笑ってくれる。つられて、つい口角が上がる。

「あ。今のは自然、さっきは無理矢理感ひどすぎ」

 兄さんが教えてくれる。演技できてないのか。

「表情筋死んでるのかな」

「今はな。落ち着いたら戻るだろ」

 それっていつ?

 首を振る。兄さんに聞くことじゃない。