桜の咲くころ、思い出して

木いっぱいかわいらしいピンク色の花を咲かせた桜が何本も立っていた。

見上げれば空いっぱいに桜の花びらが風に揺れて、たまにヒラヒラと飛んでいく。

「友也くん、すごいね!こんなによく見えるとこ知ってたの!?」

「奈絵が好きだって言うから超調べた!」

「え…?」

「好きなんでしょ?ソメイヨシノ」

“ソメイヨシノが好きって言うからには理由があるんでしょ?”

桜を見たら、ソメイヨシノを見たら会える気がしていた。

また声が聞こえるような気がしてた。

そんなこと起らないけどね。

「…っ」

瞳の奥が熱くなる、ぼやっとかすむようにしてまばたきをしたら涙がこぼれてしまいそう。


あまりに桜がキレイだから。

友也くんがつないだ手をぎゅっと強く握った。


一緒にじーっと桜を見つめて、少し笑ったの。



「奈絵の大切な人だったんだね」



もう泣くのはやめるよ。

だってそばにいてくれる気がするから。



「ありがとう友也くん、一緒に来てくれて」



忘れなければ、忘れなかったら…



ここにいる…


よね?



「俺さ、やっぱずーっと最初っからマジでずーっと思ってたんだけど」

「何を?」

「奈絵って可愛い声してるよね」

「えっ!?」



来年も、再来年も、その先もずっと。

もう会うことはないけど思い出すよ、こんな桜の咲いた日には。




私の頭の中にいた、大切な人。