桜の咲くころ、思い出して

え……?

今、なんて…


『今日でお別れだ、奈絵』


まぼろしであってほしいって願った。

私の聞き間違いであってほしいって、ヨシノの声が聞こえてうれしいはずなのに何も聞こえなくなる。


無になる、この瞬間―…


『奈絵に伝えなきゃって思って、やっぱり伝えることは大事だから』


聞きたくない、そんな言葉…っ

「なに…言ってるの…?」

お別れを言いに来た?

ヨシノが?


ヨシノが誰に、お別れを…っ



『オレはもう消えるんだ』



消える…?

ヨシノが消えるの?


ずっと一緒にいたのに、そんなこと…


「なんでっ」


意味が分からない…!


「どこかおかしいの!?先生に見てもらおうよ!病院の先生と研究の先生にもちゃんと話しよ!もう1回ちゃんと!!」

『奈絵落ち着いて』

「それであとレントゲンとか検査とかできることいろいろ!私も受けるから!」

定期的に検査はしてる、私もヨシノも。

ヨシノの声が聞こえなくなった後も通ってる。

でも先生はこのままでいいって言った。

声が聞こえなくなったならそれはそれでいいって、それはもしかして…


「この実験が失敗したのー…?」


見放されたの?私。


『ううん、そんなことない』

「でもっ」

『実験は大成功だ』