桜の咲くころ、思い出して

「あの、それってどんな感じなの?」

「んー…頭の中に一緒に暮らしてる?感じかな?なんとなくわかるの、ヨシノがいるなって」

「いる…?」

「ヨシノは私の見えてるものが同じように見えてて、私が思ってることを感じとることはできないんだけど声を出せば会話ができるの」

「う、うん…!?」

伊田くんが目をパチパチさせてる。

こんなこと急に言われてもわからないよね、私も初めは戸惑ったし。

でも今はそれが私の日常で、ヨシノがいるから私がいて。

「川瀬ちゃん…あの、変な意味じゃないよ!変な意味じゃないけど…お風呂とかは?」

「お風呂とかプライバシーのあるところでは勝手にオフになるの!視界オフ機能っていうのがあってね、そんなことも感知できるのAIだから!」

それもなんとなく感じる、今オフ状態だなって。

「あ、あとはアラームとかもあるよ!私が寝てる時でも向こうは眠るわけじゃないから何かあったら起こしてくれるし知らせてくれたりとか!」

「へぇー…すごいね?」

「AIは優れものなんだよ!」

そう、すごいのAIは。

なんでもできるし、なんでも教えてくれるし、すごいの…


ヨシノは。


「でもね、AIには1つ苦手なことがあって…」

学習能力が組み込まれてるAIだけど、それはあくまで知識や技術。データ化や処理は得意…って私も聞いただけなんだけど、AIも完璧なものじゃないんだって。

「苦手なこと、って何…?」

きっとそれが人間との違いなんだと思う、人間にはできてAIが苦手なものー…