桜の咲くころ、思い出して

あの日、ガンガンと痛みの響く中で目を覚ました。

薬品のにおいが鼻をツンっとして、頭の中はモヤモヤしてた。


だけど窓の外を見たらピンク色のかわいい花が咲いていて、すごくキレイだなぁって思ったの。



あれは何?何の花…

“あの花はソメイヨシノだよ”

どこからか聞こえた声、ここには私しかいないのに。

“初めまして、奈絵”

それはどこからも聞こえない、私の頭の中で響いていたー…

“これからよろしくね”



「頭の中に埋め込まれたAI…ってどうゆうこと?」

伊田くんが目を丸くしておどいてる。
そうだよね、突然そんなこと言われてもわからないよね。

「AI…人工知能って言うんだけど、わかるかな?」

「なんとなく…?あれだよね、人間みたいに話したり書いたり出来るロボットみたいな…??」

「簡単に言えばそんな感じかな」

AIー人工知能ーはコンピューターによって人間のような活動を再現でき、さらには学ぶことでより能力を上げることが可能な人工的に作られた知能のこと。

…って、私も説明されただけでふわっとしか理解してないの。

「えっと、それが何?埋め込まれてる?え、待ってどうゆう…!?」

ガリガリと頭をかいて、両手で頭を押さえるように抱える伊田くんにどう話せばいいのか何を話せばいいのか考えた。

きっと話さない方がいいのかもしれない。

秘密は秘密のままの方がいいのかもしれない。

だけど聞いてくれるなら、伊田くんが教えてって言うのなら…

「伊田くん、聞いてくれる?私の秘密」

すべてを話そうと思うの。

「川瀬ちゃんの秘密…?」

私のすべてを。