桜の咲くころ、思い出して

本当は行きたくないって思ってた。

不安のが大きくて怖かったから、だけど帰って来た今は何度も思い返してる。


目を閉じては思い出して、明日学校へ行くのが楽しみなんて初めてかもしれない。


学校に行ったら会えるから、伊田くんに。



伊田くんに会えるー…



「昨日の罰として作文を提出すること!」

放課後、森木先生に呼ばれた。
たぶんこんな時しか使われない空き教室に、ちょっとイライラした森木先生に連れられて。

「あのなぁ、遅刻はよくないことだぞ?よくないことだけどそれ以上に生徒が30分も行方不明の方が困るわけ、こっちも心配するからな」

しんっとする空き教室、森木先生の声が響いてる。

「そこをもっと考えて行動するように、もう中学生なんだから…伊田も川瀬も」

伊田くんと一緒に呼ばれた、しかめっ面した森木先生に。

「ごめんね森木せんせー、せんせーも怒られた?」

伊田くんは今日も伊田くんだったけど。

『マジこいつ何なんだろうな』

「…。」

私なんか先生に名前言われただけでビクついちゃって、しかも空き教室にまで呼ばれてどうしようとか思ってた。

「怒られたよ!お前らがいないのは俺の責任なんだからな!」

「ごめんね?」

「謝っても許さないぞ!」

『仲良しかよ』

怒られるのか、遊んでるのかわかんない。

これ本当に怒られてるのかな?

「これは罰だぞ、しっかり反省して!今日中に作文提出!今日中にだからな、絶対職員室持って来いよ!?」

あ、一応怒られてた。
キリッとつり上がった眉だけど、あんまり怖くなかった。