桜の咲くころ、思い出して

「お、いい写真撮れた~!」

変な顔してなかったかな?
顔赤くなってなかったかな?

上手く、写ってたかな…?


絶対その写真見れない!


「こんないいとこ誰も来ないなんてさ、俺らツイてない?」

伊田くんが微笑む、ねって私に向かって。

「誰もいなくてラッキー!」

この瞬間を写真に収めたくなった。
私に向かって笑う伊田くんを、そしたら私のものみたいに思えて。

「景色も見とこ!登った記念!」

『その3』

「…。」

スッと視線を変えた伊田くんの横顔を見ながら、ドキドキする心臓を手で押さえてた。

静かに深呼吸して私もゆっくり視線を変える。

ふとさっきの伊田くんの言葉を思い出したの。


“学校行事って無料(タダ)で遊べるんだよ?”

これも、そうなんだよね?

これも無料(タダ)、こんな景色が無料(タダ)


じゃあ伊田くんといられるのは?

伊田くんと一緒にいられるのは…


同じ学校だから。


「川瀬ちゃん…」

名前を呼ばれて隣を見ると伊田くんも私を見てた。
じっと一途に私だけを見て、見つめて、静かに息を吐く。

強い風の音なんか気にならないくらいドキドキって心臓の音が私を取り巻いて…

「集合時間って何時だっけ?」

「えっ!?」

えぇ~~~~~~~~~~~っ!!?