桜の咲くころ、思い出して

「そ?だって学校行事って無料(タダ)で遊べるんだよ?」

無料(タダ)!?」

「最高じゃん」

そ、その発想は1ミリもなかった…!

学校行事を無料(タダ)でできる遊びだと思ってるの!?

そんなこと私には…っ

「だから川瀬ちゃんも参加してよ、無料(タダ)なんだから」

目を合わせたままだったから、伊田くんが立ち上がると同時私も顔を見上げることになった。

にこっと笑う伊田くんの顔を。

「そしたらやりたいこと、出てくるよ」

「……。」

私が答えられなかったから、何も言えなかったから…

『すげぇな』

うん、すごい。

すごいしか言えない私はまた落ち込んじゃうよ。


どうしたら伊田くんみたいになれるんだろう。

私には無理な気がするよ。


「ねぇあっち行ってみない?」

伊田くんが歩いていく方へ同じように歩いていく、置いてかれないように背中を追いかけて。

「なんかいい感じじゃない?見て、光りが抜けて来た!」

ただ後ろをついていくだけだったけど、さっきまであんなに疲れてたのに不思議…

今は歩くのが楽しくなっていた。

「あの先どうなってんのかな?どーせならあそこまで行きたいよね~」

道としては成り立ってるけど整備されていない道は歩きづらくて、それでも一歩一歩前に進んだ。

「ね、川瀬ちゃん」

呼んでくれるのがうれしくて、たまに振り返る伊田くんにドキッと胸をおどらせて。

悩んでばっかだった心が晴れていくように。

「おっ、なんか見えて来たー…!」