桜の咲くころ、思い出して

「なんか変わったことやりたいと思ったけど案外浮かばないものだね」

「…そうだね?」

お昼の時間が終わったら次は自由時間、時間までは好きなように過ごしていいことになってる。
だから伊田くんとその辺をブラブラ歩いた。

「山登りって登った後何すんのかなって考えてみたんだけど俺の中ではヤッホーって叫ぶくらいしか思い付かなくて、川瀬ちゃんはなんかやりたいことあった?」

「えっ!?」

山頂にたどり着くことに必死でそのあとのことなんか考えてなかった、ただ登るだけじゃないんだオリエンテーションって!

何かやりたいことって…

『深呼吸、写真撮影、景色を眺める。これが山頂でやりたいことの定番だな』

瞬時にヨシノが教えてくれた。

ふーん、そうゆうのがやりたいことなんだ。
それはなんとなくわかるかも、それくらいなら私もできそうだし。

「次は体育祭だよね」

「え?」

私が山頂でやりたいことを答える前に別の話題が飛んで来た。

「あ、学校の行事ね!次は体育祭じゃん?その前に中間テストはあるけどそれはノーカンで!」

「あ、…うん。そうかも、体育祭…」

5月は中間テストで6月は体育祭、だったかな。最初にもらった年間行事予定表に書いてあった気がする。

「そのあとはまた期末テストだけど、夏休み終わったら球技大会とか文化祭とか合唱コンクールもあるんだよね~!」

クラス名簿を読み込んでる伊田くんは年間行事予定もちゃんと読んでるんだなって思うほど詳しくて。

「まだまだあるよ、学校行事」

私はちょっと見たぐらいだったのに。

「楽しみじゃない?」

「え?」

にこっと微笑む伊田くんの表情はきりっとして。

楽しみ?学校行事が…?

「…やっぱり伊田くんはすごいね、そんな風に思うんだ」

そんなこと、思ってなかった。

私にとっての学校行事は間違えないようにとかちゃんとできるようにとかやりきることしか考えてなくて、それが楽しいことなんて思ってなかった。