桜の咲くころ、思い出して

ヨシノが私に呼びかける、頭の中で。

バクバク心臓がなり始めて、山を登ってた時よりうるさいかもしれない。


私に言えるのかな?

言っていいのかな?


私がそんなこと…っ


『“真っ直ぐな言葉って相手に伝わるから”』

それはさっき伊田くんから教えてもらったこと、思ったことを言えばいいって伊田くんが…

「どうかしたの?あたしに何か…」

変えたかったんだ、私。
自分を変えたくて、だから今日だって参加しようって決めたの。

もうふさぎ込んでるばっかの私じゃ嫌だからって。

だってその言葉が、私の背中を押してくれるみたいなんだもん。


だから言わなくちゃ、自分で言わなくちゃ…!


「一緒にお弁当をが食べたいです…!」


…って言ってみた。

でも怖くて目をつぶっちゃった、真島さんがどんな顔するのか見られなかったの。

やっぱりダメかな、私なんかがダメだったかな?
あーっ、言わない方がよかったかな…!?

「いいよっ」

すぐに返って来た返事はかろやかで、ぽんっと飛び出すような声だった。

「え、いいの…?」

「うん、てかみんな同クラだし」

あ、ほんとだ!
よく見れば見たことある子ばっかで…本当にもっとちゃんと名前覚えなきゃって思った。

「一緒に食べよう、奈絵ちゃん!」

初めて学校で下の名前を呼ばれた。

どうしよう、体がぽっと熱くなる。

声を出したくなる。

言いたくなる。

「うん…!」


伝えたくなる、伊田くんに。