桜の咲くころ、思い出して

やさしい声が、頭の中を包み込むから。
クラクラしていた頭の中をふわっと包み込んでくれる。

『諦めていいよ、奈絵』

いいの?

「…。」

ねぇ本当に…?

『無理しなくていいから』

その声に私はいつも甘えてた。
いつも助けてくれるから、いつも許してくれるから…

でもそれはダメだって思ったから中学校(ここ)に来たんだけどな。


自分を変えたくて、変わりたくて。


だからせめて、友達は無理でも登ることぐらいはやりきりたいよ。

『奈絵、やめよっ』

「いや!」

諦めたくないよ!
だって自分で決めたことなんだから…!

すくっと立ち上がる、上を見るように山頂の方を見て。

まだ先は遠いけど登りたい、自分の力でちゃんと。

「…っ」

『奈絵!?』

あ、さっきよりクラッとした。
いきおいよく立ち上がったからかな、ずっとうつむいてて目を閉じてたから急に明るくなって目がくらんじゃった。

あ、またしゃがみ込んじゃうてゆーか倒れ…

『奈絵!!!』

「川瀬ちゃん!大丈夫!?」