桜の咲くころ、思い出して

『なぁ、もう帰る~?』

「…。」

『帰ったら何する?あ、ネトフリでアニメ見る?寝落ちしたドラマの続きもいいよな~!あ、久しぶりにオセロもありだな!』

「…。」

私が返事をしなかったらずっと頭の中がうるさい。

ヨシノが言ってることは私には聞こえるけど私の考えてることはヨシノにはわからない、だから口に出さないと会話ができないのはちょっと困る。
ずーっとヨシノの独り言を聞いてるみたいになっちゃうの。

『奈絵とオレのオセロの歴史を振り返るか!』

しかもそれどーでもいいし…

『オレの記憶によれば241勝0敗!オレの勝利続きだ!』

これは絶対私が返事しないことをわかってて言ってる。

ホームルーム、先生の話が終わればすぐに帰れるから…学校の外に出たら話してあげよう。
このままだと初めてオセロをした日から語り出しそうだもん。

担任の森木(もりき)先生が合図をしたら室長の号令で立ち上がって、リュックを背負って教室から出るんだ。

後ろのドアから廊下に出て…

「ねぇカラオケ行こ~!」