桜の咲くころ、思い出して

「あ、川瀬ちゃん今日って忙しい?なんか用ある?」

「特には何も…」

「マジ?じゃあ寄り道して帰ろ!」

「え!?」

学校帰りに寄り道なんてしていいんだっけ!?ダメじゃないの!?

こっちこっちと伊田くんが帰り道から外れていく、どんどん伊田くんが進んでいくからつい追ってしまって。
ふわふわ揺れるの猫っ毛を見失わないように、たまに小走りで追いかけてここってこんな細道あるんだとか知らない発見をして…

「こっちだよ!」

「う、うん…!あの伊田くんっ、これはどこに向かってるの?」

「えっとね~…あ、もうすぐ見えてくる!」

「え、何…っ」

「こっち!」

「!」

グイッと腕を引っ張られた。振り返ることなく私の腕をつかんで早くと急かすから。

ドキドキ、心臓が声を出す。

伊田くんにつかまれた腕からぶわっと熱が伝染して顔まで顔まで熱くなる。


すごいうるさい、心臓が。

何この音…、前を向くのが恥ずかしい。


「見てここ!」

だからピタッと足を止めた伊田くんの背中にもう少しでぶつかるところだった。

「キレイじゃない?ここだけまだ桜咲いてんの!」

え、桜…?