桜の咲くころ、思い出して

なんとか写真を3枚以上提出できた。
伊田くんのおかげで2人以上って決まりも守れたし、みんなで写真まで…ひどい顔してたけど。

写真なんて撮り慣れてないから変な顔してて提出するのがちょっと恥ずかしかった。じゃあ出さなきゃよかったんだけど…記憶に残したくて。

今日の授業が終わって帰る時間、帰りは相変わらず1人だったけどそんなこと気にせずに下駄箱に向かった。
いつもより少しだけ気分がよくてるんっと足が軽い気がしてたから。

「あ、川瀬さん!」

角を曲がって下駄箱に一歩踏み出した時、ちょうどスニーカーに履き替えていた…

真島(まじま)はっ』

「あたし真島晴香(まじまはるか)!」

ヨシノが教えてくれるより先に教えてくれた、真島さん…

今日の美術授業で一緒にいた子、だよね?
今日初めて顔を見たし、今初めて話しかけられた…

「あたし川瀬さんのこと知ってるよ!」

って、私の中では思ってた。
学校では誰ともしゃべったことがなくて、いつも1人だったから。

「小学校6年生の時おんなじクラスだったの!」

「…!」

同じ小学校の…子?
6年生の時、同じクラスだったって…

「たぶん川瀬さんは知らないと思うけど」

知らない、全く知らないし記憶もない。

そんなこと言われても何の話かわからなくて、私の話だとも思えなくて。

思い出したくないの、覚えてないから思い出したくない。


だって私はー…


「ずっと学校来てなかったよね?」


小学校へ行ってなかったから。

「川瀬さんって春休みに事故にあってた子だよね」

ズキンッ、って頭の中の信号が反応したみたい。

チカチカしてまぶしい、見えてるのに見えたないみたいにズキンズキン痛むから。

頭が揺れる、頭が…っ

『奈絵!』

痛い、すごく痛い…
覚えてないくせにあばれ出すから、脳が叫び出そうとするから。


頭が痛い…っ!


『奈絵、思い出さなくていい!忘れたままでいいから!』


助けてヨシノ…!!!