桜の咲くころ、思い出して

『わははは~!』

「笑ってないでよ!超恥ずかしかったんだから!」

『超気持ちよさそうに寝てたもんな~』

「ヨシノがあんなこと言うからっ」

『ぃーんや、それは寝てた奈絵が悪いね!』

「そ、それはそうだけど…っ」

でもヨシノが呼んだから返事しちゃったんだもん、すごい恥かいたじゃんっ

「学校で急に話しかけるのはやめてよね!」

ジャーと水を出す、トイレから出たから手を洗おうと思って。

『だってずっと寝てんだもん、オレの優しさ?起こしてあげた方がいいかなって』

「じゃあもっと普通に起こしてよ!パンに何塗る?とかいらないし!」

『オレはジャムがいい!赤くてキレイだから!』

「キレイって理由でジャム食べないよ!」

カタッて物音がしたから洗っていた手が止まった。誰も来ないと思ってたから油断してた。

授業中といい、今といい、まだ学校生活に慣れなくていつものクセがやめられない。

『奈絵?』

「……。」

きゅっと蛇口を止める。
下を向いて急いでここから出ようと…


「え、1人しかいなくない?」


入って来た女の子が不思議そうにつぶいた。