桜の咲くころ、思い出して

『まぁ奈絵が桜を欲してる気持ちはわかる』

「……。」

『毎年見に行ってんのになぁ、今年は奈絵が熱出して春休み中ずーっと寝込んでたからな…中学が嫌で』

「ちっ、違うもん!別に嫌でとかっ」

そんなんじゃ…!

春ってあったかかったりさむかったりするから、中学校が嫌とかそんな…っ

「…ヨシノだって私が寝込んでたからさみしかったんでしょ?」

『は?何言って』

「死ぬなよってずっと言ってたじゃん、風邪で死ぬわけないよ」

『それはあれだよ、オレが心配してやらねぇと誰も心配してくれないだろ?奈絵友達いねぇんだから』

ヨシノは本当に一言も二言も多い、言わなくていいことまで…

『早く帰ろうぜ、帰って昨日の続きのドラマ見るんだろ?』

「…うん」

それでもヨシノはいつでもそばにいてくれる、私のことを誰よりわかってくれる。

『気になるよなぁ、母ちゃんが実はスパイだったって予想出来ない展開だったな~』

「ヨシノができないなら誰もできないね」

『マジシャンかと思った』

「それどんな話なの」

ふふって声を出して、思わず笑っちゃって。

ヨシノといたら、いつだってこうなの。


だからいらなかった、私の中にヨシノ以外…

必要なかったんだ。


「今日は何話見れるかなぁ」

『残り3話だぞ』

「じゃあ今日中にっ」

「川瀬ちゃーんっ!」

おーいっと手を振りながらかけて来たのは…

「…伊田くん?」