桜の咲くころ、思い出して

「ごめん!そうゆうの知らなくてごめんね!?」

伊田くんがパンッと出して手を合わせた。

はじけるようなその音はうつむいてた私の顔を上げる、ぺこっと頭を下げる伊田くんは次に私と目を合わせた時にはにこっと微笑んだ。


また空気が変わったみたいだった。


伊田くんのまとう空気は不思議だ。

伊田くんが空気を操ってるみたいにコロコロと変わっていくから。


こんな人初めてだ、伊田くんは初めて…


「声が可愛いからインコちゃんかと思ってた」

「えっ」

かわいい!!?

『は?』

「やべっ、どさくさに可愛いとか言っちゃったし」

「えぇぇっ!?」

な、何を言ってるの…!?

今私に言ったの!?

『なんだこいつ』

てゆーか声がかわいいからインコだなんて、そんなの絶対誰も思ってない。

思ってないのに、伊田くんは…

「あ、待って私拾う!」

ぽやぽやと顔を赤くする私をよそに伊田くんはまた散らばったノートを拾い集めていた。

まだ途中だった、早く職員室持って行かなきゃなのに。

「俺室長なの、だからこれも仕事」

「え?」

ノートを1冊手に取って、ねっと私の顔を見た。

「困ってるクラスメイトがいたら助ける、普通じゃん?」

「……。」

ほら、また。

伊田くんが笑うと何かが変わる。

伊田くんがいると世界が変わるみたいだ。

『…。』

伊田くんは初めて出会う人だ。