何やってもうまくいかない犬飼さん




昔から俺は日和見な奴だった。


幼馴染の美久乃はいつでも自分を心配してくれたけど、それと同時に、彼女がかわいそうだと思ってしまった。



『おいおいそんくらいかよ。そんなじゃ永瀬にも嫌われるぞ?』

『……』



言い返せなかった。


俺をいじめてきた申巻の言っていることが、どうしても正論に聞こえたからだ。


感情的にはなりたくなかった。


だから、自分が正しいと思った方に従うしかできなかった。


永瀬……美久乃に嫌われるかどうかなんて俺にはわからない。でも、薄々感じていた。


こんなに弱い俺のことを、美久乃が好きになるはずないと。


夜、寝るときに美久乃のことを考えるたび、胸が傷んだ。



『やっぱ俺、美久乃に理解されないのかな』



ずっと孤独だった。


どうにか明るくなろうとしたけれど、明るくなりきれないし、周りの人からは「いじめられっ子」として避けられていたし、教師からも疎まれていた。


強くなりたかった。


VTuber初めて、キャラを作り上げて、一時は配信スランプになったりして。


それでも、美久乃の笑顔を思い出すたび、頑張ろうって思えた。


美久乃には感謝しかないのに、


それをどうして伝えられないのだろう。


これは恋じゃない。


ほんのマイノリティな感謝なんだ。


あー、もう本当になんでだろう。


なんで伝えられないんだ。


恥ずかしがるなって。



『弱いよな〜お前って』



負けっぱなしで終われっかよ。


申巻はどうなったんだろう。謹慎って聞いたけど、元気にしてるかな。


なんでだろう。


嫌いな相手ですら心配しちゃうくらい、俺って弱いんだな。