何やってもうまくいかない犬飼さん




というわけで、僕たちは鳥越の家の前に立っている。



「早く入れ」

「お、お邪魔しまーす……」



僕と永瀬さんは、鳥越に案内されて廊下を進む。



「美久乃は頭いいから座ってて。来い、犬飼」

「……はーい」



大きめのゲーミングデスクが置かれた殺風景な部屋に僕は入れられる。こたつに入り、今朝の数学のプリントを解かされた。



「こんぐらいは解けないとやばいぞ」

「だって円周率とか意味ないでしょ」

「はあ……」



鳥越はメガネをかけ直すと、大声で言った。



「配信観るの禁止」

「え」

「これで80点取れるまでVTuberの配信観るの禁止だ」

「な、なんで」



と僕は涙目で言う。すると鳥越からファイルの角で殴られた。



「だって……自分の配信でバカになられたら、そのVTuberも悲しいだろ」

「確かに……」



僕はやる気になってプリントと一対一になった。静かな時間が過ぎていく。