コトドリ様

しばらく歩いたところで梢が立ち止まり、フェンス下の割れ目を指さした。

葵「こんなところに穴が空いてたんだ」
梢「たぶん、電流が切れてる間に動物がフェンスを破ったんだと思う」
山口さん「ひぇぇ、じゃあ野生動物が街にいるってこと?」
葵「かもしれないですね……。とにかく今は森の中に入りましょう」

セミの鳴き声が一際大きくなる。
森の中は薄暗く、葵がスマホのライトをつけた。

葵「こんなに薄気味悪い森ならコトドリ様っていうのが出てきても不思議じゃないかも。森の中に入ったら絶対に子供の名前を呼んじゃダメなんですよ」
山口さん「そうね。森は神聖なものだし、コトドリさまじゃなくてもなにかいるかもね」