男装少女は魔法学園で夢を見る


「男装、ですか…?」




「あぁ。その条件さえ守ってくれるなら君をうちで引き取ってやらないこともないよ。」



相手になんの得があるか分からない、意味不明な条件に戸惑いを隠せず立ち尽くす。





高級感あるプレートに刻まれた文字は『学園長室』

自分の手元にあるのは、学園長からの判子のみを残して、埋められている入学許可証。


そしてここで受け入れて貰えなかったとき、私にのこった道は―――





考えたくもない。ブルリと体を震わせて頭に浮かんだ想像したくない未来を打ち消す。




「…分かりました、そちらの条件を飲ませていただきます。」



「そう言ってくれると信じていたよ。」




その言葉通り、私の言葉を当たり前だとでも言いたげに余裕な笑顔で微笑みかけてくる。


だから私は、この男―――緋月魔法高等学園、学園長である緋月ルークに、一泡吹かせたくなったんだ。



勝負は一度きり。この交渉に失敗すれば、学園入りは愚か、これから私として魔法界で生きていくことも難しくなるだろう。


だからこそ、毅然とした態度を崩させない。この男に弱いところなんて見せてたまるか。

震えそうになる声を、拳を固く握ることでどうにか落ち着かせて言葉を発する。



「……賭けに、興味はありませんか?」



「……ほぅ。君が、私に?」



馬鹿にしたような表情と声にイラッとする気持ちを抑える。

くそやろーめ、こいつにはいつか絶対嫌がらせしてやる…

唇の端がピクピクするのを感じながらも、にこやかに口を開く。




「えぇ、そうです。貴方も興味があるのでは?
―――〇〇という存在が、この学園をどう変えるのか」