島江凪は、二度恋をする。 ~飛べない鳥に、恋の歌~ ※改稿版


ニンゲンの女の子というものは、どうも不思議なイキモノダ。

気さくにバンバンと声をかけてくれるのに(これはウレシイ)、『恋の話』になると、エヘヘとかウフフとか言って、自分の好きな男の子のこととか、恥ずかしがッテいて、その態度は控えめに言って……控えめダ。食事の量もウチに比べるとみんな控えめダシ。ウチがレアなんだろうカ?
そのくせ、ウチとコウイチのことを根掘り葉掘り聞いてクル。みんな、ギラギラ・ランランと目を輝かセテ。
正直、ウチは目の前の『氷宇治金時メガ盛り』に集中したいのダガ……

今日は「ナギちゃんが体育祭用に素敵なTシャツをデザインしてくれたお礼」ということで、リレーチームの女子達と、街のショッピングモールにある『空腹堂』という、和菓子やかき氷が食べられるお店に来てイル。別にお礼なんかいいケド、みんなと美味しいスイーツが食べられるのが楽シイ。

「でもさー、ナギちゃんって、去年と比べると全然キャラ変わったよねー」
フウカが、不思議そうに言う。彼女は一年生のとき、ウチと同じクラスだったらしいけど、ほとんどあまり……いや、全然憶えてナイ。
「でもあれじゃない? 『恋』がナギちゃんを変えたってやつ」とリケジョのキヨミ。
「キャー!なにそれ、悶絶するわ!」と国文のタマミ。

「ということは、ナギちゃんを変えたのは……」
「コウイチ君ってことか!」
「やるねー、普段は真面目で無口なくせにねー……でも顔がいいことは認める」

「みんなウチのダーリンのこと、好き勝手言ってオルが……まあ、その通りダナ」
肯定すると、キャーキャー!ダーリンだって!と、騒ぎ声のボリュームが三倍上がっタ。ホラ、あっちの席の人にも、ジトっとにらまれておるゾ。
 
「ねえねえナギちゃん、どういうきっかけでつき合い始めたの?」キヨミが身を乗り出して追及してクル。
「あ、確かちょっと前にさ、学食でコウイチ君に抱っこされてる子がいたって噂になってた……あれってひょっとしてナギちゃん?」
とタマミが言うが、そんな騒ぎになっていたのカ? それを聞いたキヨミがクリームあんみつの白玉をノドに詰まらせたのか、ゲホゲホとしながら聞いてキタ。
「え! ゲホッ いきなり抱っこ! ゲホゲホッ……ああ苦しい……そんなにゾッコン夢中だったの? ゲホッ」
「いや、ゾッコン夢中だったのは、天ぷらウドンとセットのいなりずしで……」
「でさ」とフウカがウチの言葉をサエギル。

「どっちからコクッたのかな?」
「コクルトハ?」
「なーにとぼけてんのよ……『好きです、つきあって』とか、告白……思いを伝えることに決まってんでしょ!」フウカの目がコワイ。

「ソーカ、そう言えばコクハクはしてないナ、お互いニ」
「んなわけないでしょ、二人はこんなに仲がいいんだから」

「んー、そうダナ、確かにウチは、コウイチにプロポーズしてるナ」
「「「ギャー! プロポーズ!!!」」」

そうダ……あのカラオケ大会の帰りに。コウイチに伝わったかどうかわわからないケド。
逆襲してヤルゾ。
「ところでダ、どうもウチのことばかり聞いて楽しんでいるようダガ、みんなはどうなっているノダ? その、カレシとか、コクハクとか」

三人は「えっ!」と声を発してしばらく黙りこんダ。

「そ、その……アタシは好きな男子がいないわけじゃないんだけどね……告白はまだいいかなって」とフウカ。
「いやー、私は、実験と理数の勉強が忙しくて……」とキヨミ。

ラストのタマミにみんなの視線が集まル。
「つい最近、コクって即フラれました……ワタシの黒歴史が塗り替えられたばかりなのです」
うなだれてつぶやくタマミ……と思ったら、すぐに顔を上げタ。

「という訳でナギちゃん、話戻すけどさ、コウイチ君から、ちゃんと気持ちを聞かせてもらった方がいいんじゃない?」
ナニが「という訳」だかわからんが、
「心配には及バヌ。それなりの言葉を聞かせてもらってイル」と余裕を見せてミタ。

「え、だって告白は、まだだって?」とタマミは不思議がるガ、
「コウイチからは、『ありがとう』って言ってもらっタ。それが二人の恋の始まりで、それが、すべてダ」

「『ありがとう』が告白の言葉なのかよくわかんないけど……なんか、尊い」涙を拭くキヨミ。

「でもさ、コウイチ君にはもっとはっきりと気持ちを伝えてもらいたいとは思わないの?」
「ウム、タマミの言うことも、もっともダ」

「そうだ! せっかくだからコウイチ君の家に押しかけたら? 確か二人は近くに住んでるって言ってたよね?」
「いいね、それ! 確か彼、家で商売やってるって言ってたから、ご両親にもあいさつができるかも」
「うんうん、アリよりのアリ!」
「『お義父サマ、お義母サマ、どうかコウイチをウチにくだサイ』ってね!」
「タマミ、ウチの口真似をするでナイ!……だいたいソレ、コウイチが告白する流れになっとらんのダガ?」

「「「アハハ」」」

結局、ウチは『がーるずとーく』とやらのネタにされただけの気もスルが。

ソウカ、コウイチの巣に押しかける、というのは、アリヨリのアリアリなのカモ。

それに、家族はイイモノダ。人間の家族も……鳥の大家族も……アレ、涙が出てキタ。
「ナギちゃん……大丈夫? ひょっとしてアタシたち、はしゃぎすぎちゃったかな」
心配そうにウチの顔をのぞきこむフウカ。
「イヤ、大丈夫ダ……こんな楽しいジョシ会に誘ってくれて……アリガトウ」

「こちらこそ!……ナギちゃんの言う通り、ありきたりかもだけど、確かにいい言葉ね、『ありがとう』って」
そう言ってフウカはニッコリと微笑ンダ。