Catastroph

乱暴にカントは涙を拭う。すると、鉄格子の隙間なら布が渡された。刺繍の施された布だ。

「これ使って。目を擦ったら傷になっちゃうよ」

「あ、ありがと……」

生まれて初めて、カントは人にお礼を言った。チセは「どういたしまして」と微笑む。そして、チセは色々なことを話してくれた。

チセはこの村から遠く離れた地で暮らす民族で、芸事が得意なため各地を今は旅して出稼ぎをしているのだという。チセが暮らす土地は、この村よりも湿気はなく、草原地帯が多いそうだ。

「カントはずっとここにいるの?」

「……う、うん。僕は罰を受けなきゃいけないから……」

チセはこの村の伝説を知っているようで、「あの伝説ね!」と怒りに顔を染めた。カントは何故チセが怒っているのか、理解できなかったため首を傾げる。

「チセ?」

「そんな伝説おかしいよ!カントは何も悪くないのに!」

チセが泣きそうになり、カントは何を言っていいのかわからず口を閉ざす。誰かの涙を見るのは初めてだった。しかし、たった一つ思うことがある。