Catastroph

『チセを助けたい?』

カントは頷く。

「助けたい……!!」

また頭の中に声が響く。

『なら、こう願って。「みんないなくなれ」って』

カントは考えず、必死に願った。

「みんないなくなれ。みんないなくなれ。みんないなくなれ。みんないなくなれ。みんないなくなれ!!」

刹那、夕焼けの光が濃くなる。世界が赤く染まった。カントの体がフッと軽くなる。

「カント!ねぇ、カント!」

チセに体を揺さぶられ、カントは目を開ける。目を開ければ、縛られて服を破かれたままのチセがいた。カントは辺りを見回す。さっきまでいたはずの村人が、どこにもいなかった。

「えっ?何で……」

「わからない。でも、私たち助かったみたい」

チセが安堵したように笑う。カントはチセを縛っている縄を解き、彼女を抱き締めた。

「チセ、ごめん」

「ううん。助かったからもういいよ」

夕日がゆっくりと沈んでいく。二人はただ、お互いの存在を確かめるように抱き締め合った。