「もしかして……」
わたしが知らないだけで、ここの兄弟には妹がいた……とか?
わたしが知っている限り、日向家は親族にも女の子は居なかったような気がするのに。
「まあ…いっか!とりあえずお掃除っ」
とりあえずお高い服だろうし、誰かの思い出の品かもしれないから捨てることはできそうにない。
なるべく丁寧に畳み直して、そっと棚に戻しておく。
「ふーっ……だいぶ片付いたかな?」
「おーい、サナーー?どこーー?おれの犬ーーー?」
「だれが犬だっっ!はーい今いくーー!!」
わたしは何も知らなかったんだ。
かつてこの屋敷に、“女の子”がいたことを。
けれどその少女は正真正銘、性別も男の子だったこと。
けれど確かに、この日向家には、女の子がいたこと。
実際はその子は“女の子”として生きざるを得なかったこと。
この物置部屋に封印されていたワンピースを着せられ、お高いキラキラした装飾品ばかりを身に付けられ。
そうして誰かのお人形のように生きていた────「葉奈」という名前をした孤独な少年がいたことを。



