「あのねっ、わたし屋敷内の模様替えを任せられたり、開かずの間みたいな場所をこじ開けたりね!いろいろ…しててっ」
「へえ。そうなの」
「……うん」
1度も言ってくれたこと、ないんだよね…。
そりゃそうだ。
わたしの惨敗記録と母の尻拭いを思い返してみれば、そんなこと言えもしない。
でもそれは今までの話。
「……サナ、ちょっとこっちに来なさい」
「えっ、あっ、うん!」
母に連れられるように、わたしは食事を中断させてまで立ち上がる。
昔から礼儀や作法には一際厳しかった母も、今日だけは肩のチカラを抜いているみたい。
連れてこられた場所は、なんと滅多に立ち入りを許可されなかった母の部屋だった。
「これをあなたに預けるわ」
「わあ…!」
「綺麗でしょう?私の大切なペンダントよ。天然石で作られていてね、世界でひとつだけなの」
「えっ、い、いいの…!?」
「…あなたにだけは特別ね」
琥珀色の天然石が埋め込まれたペンダントが、そっと首にかけられる。
母からこうして贈り物を渡されるのは考えてみれば初めてかもしれない。



