「…よしよーし。いい子いい子」
「……なに、」
「あははっ。なんだろねえ…、んー……、ぎゅってするとね、あったかいんだよ望」
「…………」
「……では寝まーーす…」
「……は、ちょっと、ねえ、」
ごめん、寝ます。
シンプルにギブアップです。
朝からこの家の家事代行サービスをして、夜までこうして末っ子のお世話して。
睡眠時間を削ってまで、どうしたらワケありクセつよ4兄弟と打ち解けられるか1人で作戦会議。
そんな毎日はね、うん、けっこう身体にくるんだよ御曹司ども。
「……ボクの、母さんは…、……あなたに……似てた…」
という、泣きそうな声と。
隠し通路の扉付近から聞こえた、カタンという物音。
それは誰かがこの光景をずっと見ていて、去っていったような物音だった。
そういえば今日アニキは諸用で外に泊まってくると言っていて、楓くんは22時には確実に寝てしまう子供っぽい特徴がある。
となると、そこにいたのは………あいつか幽霊しかおらんて。



