日向家の諸事情ですが。





「おーい、望(のぞむ)?生きてる?」 



南京錠やら鉄格子やら、厳重にロックされた重圧のある扉の前。

お気楽な声を出したのは彼の双子の兄でもある楓くんだった。


隠し扉の先は階段で地下に続いていて、奥に進めば進むほど足元は見えないし、壁は岩かってくらいの素材感だし……。


地上には絶対に出なくていいようにと、トイレにシャワー室、すべてが引きこもりくんのために設備されていた。



「なんかね、新しいメイドさんが挨拶したいんだって。ここ、開けてもらえたりするー?」



シーーーン。

期待はしていなかったが、予想どおり返事は皆無。


「ね、無理でしょ」と、分かりきったように楓くんが視線ひとつで伝えてきた。



「おいっ!いつまで立てこもりごっこやってるんだ望!!」


「ちょっ…!」


「最後にいつお日さま浴びた!?太陽の下走ったのっ、いつで終わってる!?聞こえてるんなら返事をしろーーー!返事と挨拶は人間の最低限なんだよーーうっ!!」



ドンドンドンドン!!!

こういうときこそ刑事ドラマでは慎重に伺うものだけど、わたしにそんな余裕なんかないのでねっ!!