「まずハナちゃんは初恋の女の子さえ長男ってだけのシキ兄に奪われてる。それってかなりしんどくない?」
うん、しんどい。
しんどいね、それは。
でも、ごめん楓くん。
そうは言われてもわたしは長男である彼を悪く思うことが、どうしてもできそうにないんだ。
「なによりハナちゃんがこの世でいちばん大嫌いなのは……メイドだから」
おれが言えるのはここまで───と、真理を覗けそうだった空気を無理にでも変えられてしまった。
「っ…、楓くん!!」
立ち上がるように呼び止めた、背中。
思ったより大きな声が響いたからか、どこか不安げに楓くんはわたしを見つめてくる。
「四男、いるよね…?…あの隠し扉の先に」
「……、いる、けど」
「会う。もうこじ開ける」
「いやダメ。却下。…あいつは繊細だから」
「知らんっ!そんなの知らん!!」
最後でいい、あの次男は。
それ前にもうひとり、わたしにはずっと気になっていた片方がいるんだ。
こんなのいきなり全部を見ようとするからダメなんだよ。
ひとつひとつクリアしていけば、それが全体の地図になるかもしれない。



