日向家の諸事情ですが。





わたしの返事なんか興味もないんだ。

会話をしているわけじゃなく、この男にとっては流れ作業みたいなもの。

わたしの返事がどうであれ最初からローレンを気にしていただけなんだと。



「カーテン。なにあれ」



ローレン……やめたほうがいい。

そんな男の頬を舐めたっていい気分にはならないよ…?


だってこいつ、未だにわたしを1度も視界にすら入れてない。



「アニ…、識様が好きに模様替えしていいと、仰ってくださいました……ので」



ピクリと、ローレンを撫でる手つきが止まった。



「…シキ、ね」



低くつぶやかれた声に、わたしの背筋がゾクリと際立つ。

どこで怒らせたかと、どの部分で機嫌を損ねさせてしまったかと、まるで地雷を前にしたみたいだ。


いつ爆発するか分からない地雷。
そんな恐怖が、この男にはある。


そういえば一昨日。

このひと、アニキのことさえ1度も見てなかったよね……?



「さっさと出ていけよ。いらないから、メイドなんて」