怪異退治の精鋭を育成する寄宿学校へ入学した日。元宮司の子である津守宗臣(※主人公)と元山伏の子である望月清之介が相部屋になった。
宗臣は宮司の長男として生まれ家督を継ぐ人間だったが、神の護りが弟である誠にうつったことで家督を譲った経緯がある。⇒誠が山伏の姿をした鬼に襲われ、瀕死の状態にあったところを宗臣が自身についていた神を誠におろしたことで命を救う代わりに、宗臣は視力と聴力のほとんどを失った。魔のものを退治する力も弱まったが、そのいきさつは誠にも家族にも内密にした。(誠は死にかけだったので覚えていない。神おろしは加護喪失等のリスクを伴う。無事に成功したから神社存続の危機を脱しただけなので内緒)誠を襲った鬼は神を下ろした時に封じ、その後のきちんとした処理は当主である実父に任せ、宗臣は後継を退いた。神社の子だからと怪異退治育成学校へ。
式神を扱える能力は残っており、それらを通じて視力と聴力を補完していた。聴力に重きを置き、視力は式神通して0.1ほど。それを隠して入学している。神おろしで鬼を封印したことは誰にも知られてはいけない、神と自分だけの秘密のはずだった。
一方、同室の望月清之介は錫杖を常に持ち歩いている一風変わった同い年の男。クラスは隣。特に無愛想というわけでもなく、かといってお喋りというわけでもないその男にも、過去、修行中に父、望月玄岳を鬼に喰われた過去を持つ。山の中ではぐれてしまった玄岳を探していたが、見つけた時には既に鬼になっていて、とある神社の一族に封じられてしまっていたあとだった。玄岳が管理していた寺院の権限は金に汚い親戚に奪い取られ、清之介が未成年ということもあって、学費と身の回りの金銭を援助する代わりに寄宿学校へ。封印された玄岳を自分の手で救い出してやりたい想いがある。封印の力が強すぎて解くことができないため毎日修行を欠かさず、心の安定の意味も込めて錫杖を持ち歩いている。
清之介の錫杖を見る度、封印した山伏を思い出して複雑な気持ちになっていた。
ある時、宗臣の式神をいじめっ子に見られたことで『最弱』イジリの対象になる。宗臣にとって、式神しか扱えなくなってしまったことはすごく悔しいことでもあった。神の姿を目視で見れるぐらい力が強かったのに、それが誠の方に移した途端に、親の愛を失い、あれよあれよというまに親元を離されてしまった。寄宿学校に通っている者の出自は様々だ。津守家の跡取りが替わったと神職界で噂になっていたのを聞きつけたクラスメイトがいた。「こいつ、神様に見放されたんだってよ。弟は兄がいなくなってせいせいしたってさ。かわいそうに」懐いてきて可愛かった弟がそんなこと言うわけがないと怒りに身体を震わせ、式神に伸ばした手を清之介に捕まれる。それ、攻撃するためのモンじゃねーだろ、という一言に我に返った宗臣は清之介に手を引かれながら半ば放心状態で一緒に部屋に帰ることに。
清之介は(鬼になった)父と怒りに目が据わった宗臣の姿がかぶって思わず声をかけた。事情があることを察しながらも庇ってくれた上に深入りしてこない清之介に感謝する宗臣。このことがきっかけで学校でも部屋でもコミュニケーションを取るようになる。(実習以外の怪異退治、体操服の貸し借り、宗臣の目の代わりに清之介がご飯をよそったりなど支え合う二人)
梅雨入り頃、忘れ物をしたと黄昏時に学校へ戻る宗臣。そこで怪異と出くわした。式神で応戦するには限度がある。かといって宗臣に祓言葉を唱える力はない。追い詰められた時、清之介が錫杖を持って山伏の呪文を唱えて助けてくれた。学校に怪異が出るのはおかしいと清之介と共に怪異の出所を探る。お互いに怪異の気配に既視感を持っていることを話し、犯人を探し出した。犯人は誠だった。清之介は鬼の封印の気配から、宗臣は血のつながりの気配から誠を特定。幼いころ、誠は両親の愛を独り占めする兄に嫉妬していた。神の力を欲しがった鬼がその嫉妬に付け込んで誠の精神を完全に乗っ取って操り宗臣を喰おうとしたがうまくいかず、誠の方を喰うことに。だが大人の山伏が阻止。ならばと鬼は山伏を喰い、誠はその山伏に攻撃され死にかけてしまった。結果、両親の愛を得られた過去を持つ。が、宗臣が存在している限りいつまた両親の愛を失うかわからない恐怖と深い嫉妬心に付け込まれ、またも鬼に精神を乗っ取られてしまった。宗臣の存在を消そうとしたのは鬼のせい。
宗臣は無駄な殺生が嫌いだった。生きとし生けるもの全てに意味も目的もあり、一見悪いことであったとしても必然であるから起こるのだという考えがあった。たとえ鬼を見つけたとしても殺しはしないし、現に封印にとどめている。それを知っている誠が怪異を起こしたことに違和感を抱く宗臣。鬼に操られた誠は、あの日宗臣が封印した山伏の鬼を解き放ち、寄宿学校へ送りつけた。最凶の鬼はクラスメイトや教師を襲い、喰らっていく。鬼を解き放った時点で誠におろした神は誠から離れ、宗臣の元へ帰ってきた。能力が戻った宗臣はやむなく祓言葉で鬼を退治しようとするが、清之介がそれを止めた。
その鬼は同室の父――玄岳だった。
鬼は魂さえ守っていれば身体が変化しようと助けられる。しかし鬼に飲み込まれないことが絶対的な条件であり、一度でも自我を忘れてしまえば助けることはできない。玄岳は既に我を忘れ鬼と化していたが、清之介は諦めなかった。修行で培った能力を最大限に発揮して玄岳を救おうとする清之介を前に、宗臣は鬼を祓うべきだと理解しながらも、祓言葉を口にできずにいた。しかしこれ以上鬼の犠牲者を増やす訳にはいかない。玄岳を助けてやりたいが、助けられない時もあると受け入れる他ないと清之介を説得するが、誠のせいで玄岳は鬼になったも同然だと、清之介は宗臣の存在を拒否する。お互いの過去を話し、お互いの事情を知った。二人とも大事な人を助けたかっただけだった。宗臣は清之介に抱き着く形で錯乱状態の清之介を落ち着かせ、謝罪する。玄岳を殺したくなかったから封印したという宗臣の気持ちを汲み取った清之介は謝罪を受け入れた。玄岳の魂が救われるように一緒に祈ろうと宗臣が声を掛ける。山伏の真言を清之介が先唱し、宗臣が祓言葉で応じ、神道側は二拍手で神を呼び、山伏側は印契(手印)を空中に描き統一。玄岳の魂は救われ、誠は我に返り、犠牲者は宗臣と清之介の力で鬼にならずに済んだ。
神はそのまま宗臣に憑き、誠は鬼に操られぬよう厳しい修行をすることに。宗臣は家督を継ぐため神社へ戻ることになった。寄宿学校から神道系の学校へ転校が決まった夜、清之介の笑い皺までくっきりとよく見えた。望まぬ結果だったが、父を救えたと憑き物が落ちたように表情が明るくなった清之介とは1年足らずの付き合いだったが、かけがえのない親友に。連絡先を交換する。「バディは解消するがまた会おう」と約束して、力強いハグを交わした。
因果が結んだ縁は、これからも切れそうにない。
〈補足〉
情報を出す順番:主人公の過去は物語ベースで冒頭で提示。同室の父は中盤で「違和感」として小出しし、弟の真相はクライマックスで一気に開示。
宗臣は宮司の長男として生まれ家督を継ぐ人間だったが、神の護りが弟である誠にうつったことで家督を譲った経緯がある。⇒誠が山伏の姿をした鬼に襲われ、瀕死の状態にあったところを宗臣が自身についていた神を誠におろしたことで命を救う代わりに、宗臣は視力と聴力のほとんどを失った。魔のものを退治する力も弱まったが、そのいきさつは誠にも家族にも内密にした。(誠は死にかけだったので覚えていない。神おろしは加護喪失等のリスクを伴う。無事に成功したから神社存続の危機を脱しただけなので内緒)誠を襲った鬼は神を下ろした時に封じ、その後のきちんとした処理は当主である実父に任せ、宗臣は後継を退いた。神社の子だからと怪異退治育成学校へ。
式神を扱える能力は残っており、それらを通じて視力と聴力を補完していた。聴力に重きを置き、視力は式神通して0.1ほど。それを隠して入学している。神おろしで鬼を封印したことは誰にも知られてはいけない、神と自分だけの秘密のはずだった。
一方、同室の望月清之介は錫杖を常に持ち歩いている一風変わった同い年の男。クラスは隣。特に無愛想というわけでもなく、かといってお喋りというわけでもないその男にも、過去、修行中に父、望月玄岳を鬼に喰われた過去を持つ。山の中ではぐれてしまった玄岳を探していたが、見つけた時には既に鬼になっていて、とある神社の一族に封じられてしまっていたあとだった。玄岳が管理していた寺院の権限は金に汚い親戚に奪い取られ、清之介が未成年ということもあって、学費と身の回りの金銭を援助する代わりに寄宿学校へ。封印された玄岳を自分の手で救い出してやりたい想いがある。封印の力が強すぎて解くことができないため毎日修行を欠かさず、心の安定の意味も込めて錫杖を持ち歩いている。
清之介の錫杖を見る度、封印した山伏を思い出して複雑な気持ちになっていた。
ある時、宗臣の式神をいじめっ子に見られたことで『最弱』イジリの対象になる。宗臣にとって、式神しか扱えなくなってしまったことはすごく悔しいことでもあった。神の姿を目視で見れるぐらい力が強かったのに、それが誠の方に移した途端に、親の愛を失い、あれよあれよというまに親元を離されてしまった。寄宿学校に通っている者の出自は様々だ。津守家の跡取りが替わったと神職界で噂になっていたのを聞きつけたクラスメイトがいた。「こいつ、神様に見放されたんだってよ。弟は兄がいなくなってせいせいしたってさ。かわいそうに」懐いてきて可愛かった弟がそんなこと言うわけがないと怒りに身体を震わせ、式神に伸ばした手を清之介に捕まれる。それ、攻撃するためのモンじゃねーだろ、という一言に我に返った宗臣は清之介に手を引かれながら半ば放心状態で一緒に部屋に帰ることに。
清之介は(鬼になった)父と怒りに目が据わった宗臣の姿がかぶって思わず声をかけた。事情があることを察しながらも庇ってくれた上に深入りしてこない清之介に感謝する宗臣。このことがきっかけで学校でも部屋でもコミュニケーションを取るようになる。(実習以外の怪異退治、体操服の貸し借り、宗臣の目の代わりに清之介がご飯をよそったりなど支え合う二人)
梅雨入り頃、忘れ物をしたと黄昏時に学校へ戻る宗臣。そこで怪異と出くわした。式神で応戦するには限度がある。かといって宗臣に祓言葉を唱える力はない。追い詰められた時、清之介が錫杖を持って山伏の呪文を唱えて助けてくれた。学校に怪異が出るのはおかしいと清之介と共に怪異の出所を探る。お互いに怪異の気配に既視感を持っていることを話し、犯人を探し出した。犯人は誠だった。清之介は鬼の封印の気配から、宗臣は血のつながりの気配から誠を特定。幼いころ、誠は両親の愛を独り占めする兄に嫉妬していた。神の力を欲しがった鬼がその嫉妬に付け込んで誠の精神を完全に乗っ取って操り宗臣を喰おうとしたがうまくいかず、誠の方を喰うことに。だが大人の山伏が阻止。ならばと鬼は山伏を喰い、誠はその山伏に攻撃され死にかけてしまった。結果、両親の愛を得られた過去を持つ。が、宗臣が存在している限りいつまた両親の愛を失うかわからない恐怖と深い嫉妬心に付け込まれ、またも鬼に精神を乗っ取られてしまった。宗臣の存在を消そうとしたのは鬼のせい。
宗臣は無駄な殺生が嫌いだった。生きとし生けるもの全てに意味も目的もあり、一見悪いことであったとしても必然であるから起こるのだという考えがあった。たとえ鬼を見つけたとしても殺しはしないし、現に封印にとどめている。それを知っている誠が怪異を起こしたことに違和感を抱く宗臣。鬼に操られた誠は、あの日宗臣が封印した山伏の鬼を解き放ち、寄宿学校へ送りつけた。最凶の鬼はクラスメイトや教師を襲い、喰らっていく。鬼を解き放った時点で誠におろした神は誠から離れ、宗臣の元へ帰ってきた。能力が戻った宗臣はやむなく祓言葉で鬼を退治しようとするが、清之介がそれを止めた。
その鬼は同室の父――玄岳だった。
鬼は魂さえ守っていれば身体が変化しようと助けられる。しかし鬼に飲み込まれないことが絶対的な条件であり、一度でも自我を忘れてしまえば助けることはできない。玄岳は既に我を忘れ鬼と化していたが、清之介は諦めなかった。修行で培った能力を最大限に発揮して玄岳を救おうとする清之介を前に、宗臣は鬼を祓うべきだと理解しながらも、祓言葉を口にできずにいた。しかしこれ以上鬼の犠牲者を増やす訳にはいかない。玄岳を助けてやりたいが、助けられない時もあると受け入れる他ないと清之介を説得するが、誠のせいで玄岳は鬼になったも同然だと、清之介は宗臣の存在を拒否する。お互いの過去を話し、お互いの事情を知った。二人とも大事な人を助けたかっただけだった。宗臣は清之介に抱き着く形で錯乱状態の清之介を落ち着かせ、謝罪する。玄岳を殺したくなかったから封印したという宗臣の気持ちを汲み取った清之介は謝罪を受け入れた。玄岳の魂が救われるように一緒に祈ろうと宗臣が声を掛ける。山伏の真言を清之介が先唱し、宗臣が祓言葉で応じ、神道側は二拍手で神を呼び、山伏側は印契(手印)を空中に描き統一。玄岳の魂は救われ、誠は我に返り、犠牲者は宗臣と清之介の力で鬼にならずに済んだ。
神はそのまま宗臣に憑き、誠は鬼に操られぬよう厳しい修行をすることに。宗臣は家督を継ぐため神社へ戻ることになった。寄宿学校から神道系の学校へ転校が決まった夜、清之介の笑い皺までくっきりとよく見えた。望まぬ結果だったが、父を救えたと憑き物が落ちたように表情が明るくなった清之介とは1年足らずの付き合いだったが、かけがえのない親友に。連絡先を交換する。「バディは解消するがまた会おう」と約束して、力強いハグを交わした。
因果が結んだ縁は、これからも切れそうにない。
〈補足〉
情報を出す順番:主人公の過去は物語ベースで冒頭で提示。同室の父は中盤で「違和感」として小出しし、弟の真相はクライマックスで一気に開示。

