シトラスの魔法が解けるまで

​「しゃぼん玉、片づけてー!」
先生の声が響く。
「え、俺らしゃぼん玉ぜんぜんしてない……」
真柴くんの心底残念そうな顔に、さっきまでのしんみりした空気はどこかへ飛んでいって、私は声を上げて笑ってしまった。
空に舞っていた最後の一粒が、キラキラと輝きながらきれいにはじけた。
​冴が、私のために。真柴くんが、私のそばに。
一年前、一人で勝手に距離を置いて、一人で悩んでいた私。
でも今は、周りを見ればこんなに温かい人たちがいる。
この幸せな「今」を、一文字も漏らさずに書き留めたい。