シトラスの魔法が解けるまで

​「……まってくれてありがとね」
私は小さくお礼を言って、真柴くんと一緒にチェックを受けた。
ゴム手袋をはめると、いよいよ藍染めのスタート。
​まずは水につけて、そのあと、独特な香りのする液にハンカチを浸す。
「え、きみどり……!?」
液から引き上げた布を見て、私は思わず声を上げた。藍染めなのに、目の前にあるのは鮮やかな黄緑色。
「うわ、ガチじゃん」
真柴くんも驚いた顔で自分の布を見つめている。
​けれど、空気に触れさせているうちに、魔法みたいに色が変わり始めた。
黄緑から、だんだんと濃い緑へ。そして水につけると、パッと鮮やかな「藍色」が姿を現した。
三回繰り返して、ようやく完成。
「乾いたら、10日後くらいに郵送してくれるんだって。楽しみだなー」
私が自然と笑顔になると、隣で真柴くんが茶化してきた。
「楽しみだー!って顔してるよ」
「そりゃ楽しみでしょ、真柴くん!」