シトラスの魔法が解けるまで

「はあ!? なにそれ、アイツ本気で言ってるの?」
冴が立ち止まって、自分のことのように顔を真っ赤にして怒ってくれた。
「避けてるのは『意識してるから』じゃなくて、単に『引いてるから』でしょ! 真柴だって言ってたじゃん。莉奈、あんな子の言うこと真に受けちゃダメだよ」
​冴の言葉が、知覧の澄んだ空気と一緒に胸に染み込んでいく。
「……でも、彼女、すごく堂々としてるから。私はいつも、瀬戸を前にすると固まっちゃうし……」
「それが莉奈のいいところじゃん。一年前のことをちゃんと大切にしてるから、そうなるんだよ。適当にぐいぐい行くのとは訳が違うの」