シトラスの魔法が解けるまで

​結愛ちゃんが焦ったように瀬戸くんを見つめているけれど、彼は一度も彼女と目を合わせようとはしなかった。
逆に、彼はもう一度だけ、不自然なほど素早く私の方に視線を投げた。
「ま、まあ」と言ってくれた、あの日の図書室の続きが、まだここにある。そう信じてもいいのかな。
​『クラスが離れても、私たちの物語は終わらない。
合同体育という、週に2度のランデブー。
シトラスの香りは、春風に乗って、3組と4組の境界線を軽やかに飛び越えていった。』