シトラスの魔法が解けるまで

始業式あけの、最初の体育。
春の陽光が降り注ぐグラウンドに、3組と4組が集まった。
ジャージ姿の男子たちが騒がしく集合する中、私は無意識に「彼」を探した。
​(……いた。瀬戸)
​4組の列の中で、少し面倒そうに準備体操をしている。
すると、瀬戸の近くにいた真柴くんが私に気づいて、ニヤニヤしながら手を振ってきた。
「おーい、藤井! 3組へようこそ!」
その大きな声に、瀬戸がビクッと肩を揺らして、こちらを振り返った。
​目が合う。
ほんの一瞬。でも、彼はすぐに視線を逸らして、今度は私の後ろにいる結愛ちゃんの方をチラッと見た。
その瞳は、昨日冴から聞いた通り、冷たくて、どこか突き放すような色をしていた。