シトラスの魔法が解けるまで

そして迎えた、4月。始業式。
新クラスの発表が貼り出された昇降口は、生徒たちの悲鳴と歓声で溢れかえっていた。
私は人混みをかき分け、祈るような気持ちで「3組」の欄を見た。
​「……いた。藤井莉奈……」
​そのすぐ近くに、「真柴」の名前。そして、少し下に「北口」の名前を見つけて、指先が冷たくなった。
結愛ちゃんと同じクラス。気まずいなんてレベルじゃない。
けれど、一番肝心な名前がそこにない。
​慌てて隣の「4組」に目を移す。
そこには、私の親友・冴の名前。そして、その数行下に……。
​「……瀬戸」
​彼と、冴が、同じクラス。
私は一人、3組に取り残された。
彼との距離は、15センチどころか、教室の壁一枚分、遠ざかってしまったんだ。