心臓が、今まで聞いたこともないような大きな音を立てた。
毎日届くDMの数だけ、彼女は彼に近づいていると思っていた。
でも、瀬戸にとって、それは「近さ」ではなく、ただの「重荷」だったんだ。
(『しつこい』……。私には、そんなこと言わなかった)
一年前、私が一方的に距離を置いた時も。
この前、図書室で泣きながら「嫌いなら言って」と叫んだ時も。
彼は「めんどくさい」と言いながらも、最後まで私の言葉を聞いてくれた。
逃げ出したのは、嫌いだからじゃなく、向き合うのが怖かったから。
「……莉奈、これ、チャンスどころか完全勝利じゃない?」
冴がニヤリと笑う。
私は慌ててスマホを取り出し、管理画面を開いた。
PVはいつの間にか、400を超えようとしている。
「シトラスの香りは、しつこい甘さには負けない」
そう確信した修了式の昼下がり。
私は2組の教室へと向かう廊下で、彼とすれ違うその瞬間を待った。
『マリンブルーのラケットは同じでも、彼の心のコートに立っているのは、きっと彼女じゃない。
一週間、既読スルーされた彼女の涙。
私はそれを残酷だとは思わなかった。ただ、彼が守り抜いた「15センチ」の聖域を、もっと大切にしたいと思った。』
毎日届くDMの数だけ、彼女は彼に近づいていると思っていた。
でも、瀬戸にとって、それは「近さ」ではなく、ただの「重荷」だったんだ。
(『しつこい』……。私には、そんなこと言わなかった)
一年前、私が一方的に距離を置いた時も。
この前、図書室で泣きながら「嫌いなら言って」と叫んだ時も。
彼は「めんどくさい」と言いながらも、最後まで私の言葉を聞いてくれた。
逃げ出したのは、嫌いだからじゃなく、向き合うのが怖かったから。
「……莉奈、これ、チャンスどころか完全勝利じゃない?」
冴がニヤリと笑う。
私は慌ててスマホを取り出し、管理画面を開いた。
PVはいつの間にか、400を超えようとしている。
「シトラスの香りは、しつこい甘さには負けない」
そう確信した修了式の昼下がり。
私は2組の教室へと向かう廊下で、彼とすれ違うその瞬間を待った。
『マリンブルーのラケットは同じでも、彼の心のコートに立っているのは、きっと彼女じゃない。
一週間、既読スルーされた彼女の涙。
私はそれを残酷だとは思わなかった。ただ、彼が守り抜いた「15センチ」の聖域を、もっと大切にしたいと思った。』

