シトラスの魔法が解けるまで

​「放課後、アイツ絶対に来るから。今度は俺が逃げないように見張っとくし」
真柴くんが力強く言って、2組の教室へと入っていった。
​自分の席に戻った瞬間、私は机に突っ伏した。
安堵と、緊張の余波で、全身の力が抜けていく。
でも、不思議と心は羽が生えたように軽い。
​こっそりスマホを取り出し、『野いちご』の画面を見る。
PV156。
明日、この数字はもっと増えるかもしれない。
だって、私たちの物語は、今この瞬間から、ようやく「続き」が始まったのだから。
​待っててね、瀬戸。今度は、逃げないで私の話を聞いて
​教室の窓から見える冬の空は、彼が使うテニスラケットと同じ、透き通ったマリンブルーだった。