シトラスの魔法が解けるまで

三人で教室へ向かう廊下、真柴くんが声を低くして教えてくれた。
​「あのさ、藤井。瀬戸、実は朝からずっと下駄箱のこと気にしてたんだぜ。わざとギリギリの時間に来たのも、藤井に会うのが怖かったからなんだってさ」
「え……そうなの?」
「おう。意識しすぎて自爆してただけ。だからさっき、藤井にガシッと捕まえられた時、あいつ心の中では諦めた顔してたよ」
​冴が私の肩を抱き寄せる。
「ほらね、言ったでしょ? あいつはただのヘタレなの。でも、莉奈のあの必死さが、あいつの分厚い壁をぶち壊したんだよ」