シトラスの魔法が解けるまで

​私は立ち上がり、棚の奥からシトラスのヘアオイルを取り出した。
明日の朝、この香りが私に勇気をくれる。
彼に届くか、届かないかじゃない。
私が私の想いに、ちゃんと「けじめ」をつけるために。
​『「行かないかも」と言った君を、私は無理やり呼び止める。
不器用で、一方的で、重すぎるかもしれないけれど。
明日、下駄箱の冷たい空気の中で、私は一年前の続きを口にするんだ。』
​新しいエピソードを非公開のまま保存して、私は眠りについた。
明日の朝、下駄箱で彼と目が合うその瞬間。
シトラスの香りは、きっと今までで一番、鮮やかに弾けるはずだ。