ガラッ、と図書室の重い扉が開く。
心臓が跳ねた。そこに立っていたのは、友達数人と笑いながら入ってきた彼――瀬戸だった。
「……あ」
目が合った。
一瞬だけ、図書室の時が止まる。
彼は私の顔を見た瞬間、まるで見てはいけないものを見たかのように、目を見開いて焦った表情を浮かべた。
「……わり、これ。図書室、返しといて」
彼は手に持っていた本を隣にいた友達に無理やり押し付けると、私と一言も交わさないまま、背を向けて足早に立ち去ってしまった。
私と彼を不思議そうに見つめる彼らの視線。
廊下を遠ざかっていく、彼の足音。
二日ぶりに近くで感じたシトラスの香りは、一瞬で冬の廊下の冷気に消されてしまった。
心臓が跳ねた。そこに立っていたのは、友達数人と笑いながら入ってきた彼――瀬戸だった。
「……あ」
目が合った。
一瞬だけ、図書室の時が止まる。
彼は私の顔を見た瞬間、まるで見てはいけないものを見たかのように、目を見開いて焦った表情を浮かべた。
「……わり、これ。図書室、返しといて」
彼は手に持っていた本を隣にいた友達に無理やり押し付けると、私と一言も交わさないまま、背を向けて足早に立ち去ってしまった。
私と彼を不思議そうに見つめる彼らの視線。
廊下を遠ざかっていく、彼の足音。
二日ぶりに近くで感じたシトラスの香りは、一瞬で冬の廊下の冷気に消されてしまった。

