シトラスの魔法が解けるまで

翌朝、洗面所。
私は彼の香りに近づきたくて買った、シトラスのヘアオイルを髪に馴染ませる。
一晩経つと、昨日のパニックが嘘みたいに落ち着いていた。
というか、そもそもなんで私はあんなに必死に「元に戻りたい」と思ってるんだろう。
​彼がいい人なのは知ってる。でも、冴は彼のことを嫌いらしい。
そういう、はっきりしたところは冴の好きなところだ。
ところで、彼のいいところって何だろう。
今日からケータイにメモでもしてみようか。
今日の目標とか書くのもありかも。
……うん、決めた。今日の目標は、彼と目を合わせること。いつも逸らしちゃうから。
何なら、ニコッと……してみせる。
​「莉奈ー?そろそろ出ないと」
「はーい!もう出るよ」