シトラスの魔法が解けるまで

​新幹線が発車して、車内が「自由時間」になった。
お菓子を交換したり、友達の席に遊びに行ったり、車内はちょっとしたお祭り騒ぎ。
私は、ドクドクと高鳴る鼓動を抑えながら、立ち上がった。
​「ちょっと、トイレ行ってくる……」
​そんな嘘をついて、私は4組の号車へと向かった。
自動ドアが開くたびに、心臓が口から飛び出しそうになる。
いた。通路側の席に座って、友達とスマホを覗き込んでいる瀬戸。