シトラスの魔法が解けるまで

「藤井、これ見てみろよ」
真柴くんに呼ばれて向かったのは、宇宙体重計のコーナー。
「月に行くと、体重が6分の1になるんだって」
「へぇ……じゃあ、悩み事も6分の1に軽くなればいいのにね」
私の言葉に、真柴くんが少しだけ真面目な顔をした。
​「……瀬戸のことも、月の重力くらいになれば楽なのに、ってこと?」
「……そんなこと言ってないよ」
言い返したけれど、図星だった。
クラスが離れて、修学旅行でもすれ違って。
私の心は、昨日からずっと重力の強い惑星に閉じ込められているみたいだったから。