シトラスの魔法が解けるまで

真柴くんはフッと笑って、私と目を合わせた。
「……あいつに瀬戸はもったいないよ。あんなガツガツしてるやつより、藤井みたいに『ま、まあ』の一言で一喜一憂してるほうが、あいつには合ってると思うけど」
​(……真柴くん)
​それは、彼なりの励ましだったのかもしれない。
それとも、冴に頼まれた「莉奈を落ち込ませないための任務」の続き?
でも、彼の言葉は、結愛ちゃんの香水よりもずっと温かく私の胸に届いた。

読者のみんな、見てる?
私は一人じゃない。
クラスが離れても、結愛ちゃんに何を言われても、私の恋を応援してくれる「共犯者」がここにいる。
​『ガタゴトと揺れる路面電車。
真柴くんの耳打ちは、シトラスの香りを少しだけ誇らしげにさせてくれた。
瀬戸くんのどこがいいのか。
そんなの、言葉にできるはずがない。
でも、その理由を知っているのが私だけであればいいと、少しだけ欲張りなことを考えてしまった。』