シトラスの魔法が解けるまで

写真撮影を終え、私たちは最初の目的地「いおワールドかごしま水族館」を目指して歩き出した。
潮の香りが混ざった街の空気は、昨日の指宿とはまた違って、どこか誇らしげで力強い。
​「ねえ、水族館まで歩くの? タクシーにしない?」
結愛ちゃんがヒールの高い靴を気にしながら文句を言う。
「いいじゃん、散歩だよ散歩! ほら、海が見えてきたよ!」
真柴くんが先頭を切って歩いていく。
私は、彼が時折後ろを振り返って、私の歩幅を気にしてくれていることに気づいていた。
昨夜の「寝顔がかわいかった」発言のせいで少し気まずかったけれど、真柴くんのこういうさりげない優しさには、いつも救われる。