人質令嬢、第二王子と国家反逆を狙う

 倒れこんだモルドレッド殿下を、侍女たちが素早く客室へ運んだ。

 私も慌ててついていこうとすると、父に止められた。


「殿下はお疲れで意識を失っただけだ。しばらく休めばよくなる。君も疲れているんだから休みなさい」

「ですが……っ」

「落ち着かないか」


 父はふっと微笑んだ。


「殿下が心配なのはわかるがね。彼が起きたときに君が伏せっていては元も子もない。これは領主命令だよ。湯を用意してあるから、ゆっくり身を清めて、しっかり休むんだ。いいね」


 冷え切った胸にじんわり染み込むような、温かい言葉だった。

 目頭が熱い。

 声が震えないように息を整え、私は必死に口を開いた。


「……はい、お父様」


 大きな手が私の頭に乗って、すぐに離れた。

 ばあやがやってきて、私の手を引いてくれる。

 力の入らない足を、なんとか前へ踏み出した。

***