本日は私、ジェニファー・ヴォーティガン主催のお茶会の日だった。
とはいえバケーション期間に入っているので少人数での開催だ。
政務の都合で王都を離れられない貴族の娘や、夏季休暇を兼ねて王都へ遊びに来ている地方貴族の令嬢たちをお誘いさせていただいた。
今回お声掛けしたのは、皆第二王妃派の令嬢ばかりだ。互いに立場を理解しているからか、庭園にはどこか穏やかな空気が流れている。
場所はいつもと同じ、第二王妃殿下が用意してくださった庭園だ。色とりどりの花々が陽射しを浴び、涼やかな噴水の音が庭に響いていた。
「ごきげんよう、ジェニファー様」
「ごきげんよう、この暑い最中にお越しくださり、ありがとうございます」
「地元も暑くはありましたけど、王都はなにしろ人々の熱気がすごいですわね」
「わたくしも初めて参ったときは驚きました。活気に溢れておりますものね」
話題は基本的にのどかな雑談ばかりだった。
王都の貴族の間で流行しているドレスのデザインを教え合ったり、輸入されたばかりの茶葉を飲み比べたり、話題は尽きない。
やがて、穏やかだった話題は少しずつ政治の話へと移っていった。
「ところで、最近ジェニファー様はモルドレッド殿下となにかお企みだとか」
「まあ、耳が早くていらっしゃいますのね」
「わたくしも父からそれとなく聞かされましたわ。なんでも、モルドレッド殿下は叙爵なさるとは確定していないとか」
一人の令嬢が扇で口元を隠して言った。
私はゆっくりと微笑んで、同じように扇で口元を覆った。
叙爵が確定していない――つまり、殿下がまだ王位継承権を諦めていないのではないかと、貴族たちの間で噂されているのだ。
「決めるのは殿下ですわ。わたくしは、それをお支えするだけです。ただ……」
令嬢たちの顔を一人ひとりゆっくりと見回した。
眩しい夏の日差しが庭園に降り注いでいるのに、その場の空気だけはひやりと冷たい。
風にあおられた木々が、ざわざわと葉を鳴らして揺れた。
「今後、何があろうとも、皆様とは良い関係を築いていきたいと思っておりますの。何卒、よろしくお願いしますわね」
私が目を細めると、すぐ隣に座っていた令嬢がクスッと微笑んだ。
「こちらこそ、今後ともどうぞ、よろしくお願いします、ジェニファー様」
そう言って頭を下げたのは、西部に領地を持つ、第二王妃殿下の遠縁にあたる令嬢だった。第二王妃殿下の後ろ盾となれるほどの家格ではない。それでも確実にモルドレッド殿下を支持してくださる方だから、ぜひ親しくしておきたかった。
「いずれ、第二王妃殿下やモルドレッド殿下と共に、我が領にも遊びにいらしてくださいませ。ヴォーティガン領とはまた異なる文化や料理で、おもてなしをさせていただきたく」
「はい、ぜひおうかがいしたく思います」
「父が第二王妃殿下にお土産を多数お持ちしておりますので、後ほどジェニファー様もごらんになってくださいませ」
「ありがとうございます」
頷くと、他の令嬢らも次々に口を開いた。
「お土産でしたらわたくしも、領からお持ちしましたわ」
「私は宮廷貴族の家系なものでお土産はないのですが、母が珍しい花を輸入してまいりましたの。次のお茶会はぜひ我が家で」
和やかな雰囲気のまま会話も弾み、お茶会は滞りなく終わった。
これで、バケーション前に片づけるべき仕事はひとまず完了だ。
世間ではとっくにバケーションも半ばだけど、私のバケーションはこれからだ!!
***
とはいえバケーション期間に入っているので少人数での開催だ。
政務の都合で王都を離れられない貴族の娘や、夏季休暇を兼ねて王都へ遊びに来ている地方貴族の令嬢たちをお誘いさせていただいた。
今回お声掛けしたのは、皆第二王妃派の令嬢ばかりだ。互いに立場を理解しているからか、庭園にはどこか穏やかな空気が流れている。
場所はいつもと同じ、第二王妃殿下が用意してくださった庭園だ。色とりどりの花々が陽射しを浴び、涼やかな噴水の音が庭に響いていた。
「ごきげんよう、ジェニファー様」
「ごきげんよう、この暑い最中にお越しくださり、ありがとうございます」
「地元も暑くはありましたけど、王都はなにしろ人々の熱気がすごいですわね」
「わたくしも初めて参ったときは驚きました。活気に溢れておりますものね」
話題は基本的にのどかな雑談ばかりだった。
王都の貴族の間で流行しているドレスのデザインを教え合ったり、輸入されたばかりの茶葉を飲み比べたり、話題は尽きない。
やがて、穏やかだった話題は少しずつ政治の話へと移っていった。
「ところで、最近ジェニファー様はモルドレッド殿下となにかお企みだとか」
「まあ、耳が早くていらっしゃいますのね」
「わたくしも父からそれとなく聞かされましたわ。なんでも、モルドレッド殿下は叙爵なさるとは確定していないとか」
一人の令嬢が扇で口元を隠して言った。
私はゆっくりと微笑んで、同じように扇で口元を覆った。
叙爵が確定していない――つまり、殿下がまだ王位継承権を諦めていないのではないかと、貴族たちの間で噂されているのだ。
「決めるのは殿下ですわ。わたくしは、それをお支えするだけです。ただ……」
令嬢たちの顔を一人ひとりゆっくりと見回した。
眩しい夏の日差しが庭園に降り注いでいるのに、その場の空気だけはひやりと冷たい。
風にあおられた木々が、ざわざわと葉を鳴らして揺れた。
「今後、何があろうとも、皆様とは良い関係を築いていきたいと思っておりますの。何卒、よろしくお願いしますわね」
私が目を細めると、すぐ隣に座っていた令嬢がクスッと微笑んだ。
「こちらこそ、今後ともどうぞ、よろしくお願いします、ジェニファー様」
そう言って頭を下げたのは、西部に領地を持つ、第二王妃殿下の遠縁にあたる令嬢だった。第二王妃殿下の後ろ盾となれるほどの家格ではない。それでも確実にモルドレッド殿下を支持してくださる方だから、ぜひ親しくしておきたかった。
「いずれ、第二王妃殿下やモルドレッド殿下と共に、我が領にも遊びにいらしてくださいませ。ヴォーティガン領とはまた異なる文化や料理で、おもてなしをさせていただきたく」
「はい、ぜひおうかがいしたく思います」
「父が第二王妃殿下にお土産を多数お持ちしておりますので、後ほどジェニファー様もごらんになってくださいませ」
「ありがとうございます」
頷くと、他の令嬢らも次々に口を開いた。
「お土産でしたらわたくしも、領からお持ちしましたわ」
「私は宮廷貴族の家系なものでお土産はないのですが、母が珍しい花を輸入してまいりましたの。次のお茶会はぜひ我が家で」
和やかな雰囲気のまま会話も弾み、お茶会は滞りなく終わった。
これで、バケーション前に片づけるべき仕事はひとまず完了だ。
世間ではとっくにバケーションも半ばだけど、私のバケーションはこれからだ!!
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